奈良万葉法律事務所は橿原市にあります交通事故、債務整理、相続遺言、離婚問題を中心に取り扱う奈良弁護士会所属の弁護士事務所です。

よくある質問faq

よくある質問

一般的なQ&A

相談は、平日の午前9時から午後6時までしかできないのでしょうか?
午後6時以降の相談や土日祝日の相談も、事前に予約を入れていただくことで、調整可能です。但し、弁護士のスケジュールなどもございますので、必ずご指定の日時に相談できるかどうかは、わかりません。
重点取扱分野して、相続・遺言、交通事故、債務整理、離婚相談を掲げているようですが、その他の事案も取り扱っていますか?
はい。法律問題は、ある一定の分野のみ扱っていても、解決に限界があると考えております。たとえば、遺産分割についての相談者の場合、1筆の土地を分割する場合には、最終的には、共有物分割請求を行わなければならない場合もあります。また、労働事件などは、企業法務を行う上でも重要な分野と言えます。そこで、当事務所においても、上記の4つの分野以外の事案も取り扱っておりますので、お気軽にご相談ください。
顧問弁護士がほしいが、顧問料が高いのが心配だ。
当事務所では、顧問契約の内容に応じ、顧問料が月額1万1000円(税込)での顧問契約も行っております。
法律相談をしても、実際に依頼しなくてもいいですか?
はい。もちろん、法律相談だけでも結構です。
問い合わせフォームから法律相談できますか?
問い合わせフォームから法律相談自体は受け付けておりません。相談予約や相談に関する疑問についての問い合わせフォームとなっております。
セカンドオピニオンとしての意見を聞きたいのですが。そのような相談をするのは、快くないでしょうか?
いいえ、大丈夫です。お医者さんでもセカンドオピニオンというのは、ありますよね。それと同じだと考えておりますので、セカンドオピニオンとして相談いただくことも結構です。
駐車場は、ありますか。
駐車場は、ありませんので、お近くのコインパーキングをご利用いただければ幸いです。

交通事故Q&A

事故を起こしちゃったらどうすればいいの?
交通事故に遭われたら、すぐに警察に連絡し、実況見分等を行ってもらいましょう。警察に連絡しないでおくと、事故証明書がとれず、後の損害賠償請求の際、トラブルとなります。また、病院にも行くことも重要です。

事故に遭った当初は、精神的にも緊張していて、あまり痛みを感じないこともあるかもしれません。しかし、その後、痛みが出て、病院に行っても、すでに示談していたり、事故と傷病の因果関係(事故のせいで怪我をしたという関係)について加害者側(保険会社を含む)から否認され、結果として、紛争が拡大する可能性があります。
事故のことで弁護士に依頼したいんだけど…
最近の自動車保険は、弁護士費用特約(弁護士費用を一定額まで保険で支払われる特約)が付されていることが多く見受けれらます。この場合、多くは、300 万円程度までは、弁護士費用が保険で支払われますので、ぜひ、ご自分やご家族の保険会社に電話をして、特約の適用の有無や限度額等について確認してください。
その場合、一定額まで弁護士費用を気にすることなく、早い時期から弁護士に相談しやすくなります。
証拠って何を集めればいいの?
交通事故事件では、示談を行うにせよ、訴訟をするにせよ、自己の主張を裏付ける資料が必要となります。その中で、基本的な資料としては、診断書、診療報酬明細書、カルテ、事故証明書、実況見分調書などがあります。
このほか、領収書など損害を証明するための資料や事故と少しでも関係すると思う資料はぜひ保管しておきましょう。
加害者が保険に入ってない場合はどうすればいいの?
加害者が任意保険に加入されていない場合、まずは、自賠責保険から支払いを受けることになりますが、それを超えた部分については、加害者に、請求します。加害者が支払いに応じない場合もおありますので、その際は、訴訟等による解決を図ることになります。
また、自賠責保険にさえ、加入していない場合は、政府の保障事業から一定額の支払いをうける
手続きをすることがあります。
損害賠償の中身は?
損害賠償は、単に病院代だけの請求にとどまらないことが多いです。症状や年齢等にもよりますが、病院代以外には、整骨院での施術費用、入院した際の付添費用、通院の際の付添費用、将来の介護費、入院雑費、通院交通費・宿泊費、付添人交通費、装具・器具等購入費、家屋・自動車等改造費、弁護士費用、休業損害、後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益、近親者慰謝料、入通院慰謝料などの請求を検討することがあります。
お医者さんに診てもらう場合に何か気をつけることはありますか?
症状固定の時期に至り、後遺障害が疑われる場合、お医者さんに後遺障害診断書を作成してもらうことになります。
この際、腕や腰などの可動域を検査することがあります。可動域の検査においては、必要以上に無理をして曲げ伸ばしをすべきではありません。これも、医師の指示に従って行ってください。無理して、本来は、曲がらない腕や腰を曲げると、後遺障害認定の際、不当に不利になる場合があります。

 

人身事故に遭ってから解決までの簡単な流れの1例

解決までの流れはひとつではありません。
また、物損に関する請求を行う場合もあります。

債務整理Q&A

債務整理の法律相談料は?
債務整理については、初回1時間に限り、法律相談料は、無料となっております。
過払い金って何ですか?
以前、消費者金融などで借り入れを行われていた方は、30%近い金利を取られていた方がいらっしゃいます。そのような場合、利息制限法上の利息の上限を超えていることになります。そうすると、改めて、利息制限法上の利息で計算し直すと、借入額等を差し引いても、払いすぎた利息がまだ残るという場合があります。
このような払いすぎた利息のことを「過払い金」と言います。
過払い金が出るかどうかの基準ってありますか?
一概に基準を言うことは難しいですが、10年以上弁済し続けた場合など、一般に弁済期が長いケースには、過払い金が発生している可能性が高いと思われます。
任意整理って何ですか?
任意整理とは、その名の通り、「任意」の解決手段で、債権者と交渉し、債務の整理を行うことです。具体的には、現在までの債務総額が108万円の場合、毎月3万円支払うことを合意し、合意日以降の遅延損害金を債権者に放棄してもらうなどの内容などが考えられます。
任意整理は、破産することができない場合などの事情がある場合等に行うことが多いです。また、債務が残っている場合だけでなく、過払い金請求も含めて任意整理と言うこともあります。
破産したら、選挙権がなくなると聞いたんですが。
いいえ。破産しても、選挙権はなくなりません。
破産したら、戸籍には載りますか?
いいえ、載りません。破産したことは、官報に載りますが、ほとんどの方は官報を読んでいないと思いますので、それによって破産した事実が知られる可能性はかなり低いと思います。
住宅を手放したくありません。
破産する場合、財産は原則換価し、債権者に配当となります。それゆえ、住宅を手放したくない場合には、管財人が不動産を売却する際に、親類等に購入してもらい、その親類から使用貸借するなどが考えられます。
ただ、そのような親類がいないのが通常でしょうから、その場合、個人再生手続きを選択し、住宅資金特別条項を定めるということも検討すべきでしょう。
債務整理 解決までの流れ(過払金請求の場合)

※解決までの流れはひとつではありません。

離婚相談Q&A

ただいま準備中です。

相続・遺言Q&A

【1】相続できる人・できない人

伯父(父の兄)が亡くなりました。伯母(伯父の奥さん)はそれ以前に亡くなっており、
伯父・伯母の間に子はいませんでした。また、私の父も伯父より先に亡くなっています。
姪である私は、伯父を相続できますか。
あなたはお父様を代襲相続して、原則として伯父様を相続します。

相続は、亡くなった人(被相続人=相続される人)の死亡により自動的に開始します。
だれが相続人(=相続する人)になるかは、その範囲が民法で定められています。
相続人の範囲と順位(優先順位)は、以下のとおりです。

  1. 被相続人の配偶者は、常に相続人となります。
  2. 次に、被相続人の子が、相続人になります(第1順位)。
    ここで、子とは、実子・養子、嫡出子(婚姻関係にある男女から生まれた子)・非嫡出子の
    区別を問いません。また、養子に出た実子も含みます。
  3. 子がいない場合に限り、被相続人の直系尊属(父母や祖父母)が、
    相続人となります(第2順位)。
  4. 子も直系尊属もいない場合に限り、被相続人の兄弟姉妹が、相続人となります(第3順位)。


そこで、死亡時に独身だった伯父様に、子もおらず伯父様の両親(あなたの父方の祖父母)も
亡くなっているならば、第3順位として弟であるあなたのお父様が相続します。

とはいえ、あなたのお父様は伯父様より先に亡くなっています。
このような場合、民法では「代襲相続」(だいしゅうそうぞく)といって、元来相続人と
なるべきであった者に代わってその子が相続することが認められています。
兄弟姉妹が相続人になる場合は、この「代襲相続」は一代限り、すなわち甥・姪に限って認められます。
したがって、姪であるあなたも、伯父様に妻子がおらず祖父母も亡くなっている限り、
お父様を代襲して、伯父様の相続人となります。
ただ、伯父様に非嫡出子や養子がいる可能性もあるため、市役所等で伯父様の戸籍を入手して、
伯父様にそのような子がいないかどうか、きちんと確認する必要 があります。

【2】相続の対象となる財産~遺産とは何か

伯父が残した財産には、伯父名義の宅地・居宅、預貯金、株式、ゴルフ会員権、それ以外に墓地・
仏壇もあります。それから、銀行からの借金もあったようです。
また、伯父は、受取人を本人自身として、生命保険に加入していました。
このすべてが、相続の対象になりますか。
はい、すべて相続の対象(遺産)になります。なお、相続の対象になるということは、
相続人が複数の場合、これを適切に分けなければならない、ということを意味します(後述します)。
  • 相続は、被相続人の財産(法律的には権利・義務という)をすべて丸ごと承継するものですから、
    プラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も受け継ぎます。
  • 墓地・仏壇等の祖先祭具に関しては、相続の対象にはなりますが、相続税はかかりません。
  • 生命保険の保険金については、被保険者の死亡により初めて発生するものであるため、
    遺産には含まれず、受取人として指定されている人が単独で取得できます。
    ただし、受取人として故人が本人自身を指定していた場合にのみ、相続の対象になります。
  • 相続は、借金などのマイナスの財産も引き継ぐので、相続財産が全体としてマイナスになっている
    場合は、相続の「放棄」を選択してもよいでしょう。相続を放棄すると、そもそも相続人ではなかったことになります。
    また、相続財産が全体としてプラスかマイナスかよくわからない時は、マイナス分はプラスの限度で
    受け継ぐ(支払う)、すなわち受け継ぐ額がゼロにはなってもそれ以上に支払いはしなくても良い、
    という相続の「限定承認」を選択することもできます。
    ただし、「放棄」すると、後順位の相続人(設例では存在しませんが)にマイナスの遺産を
    受け継がせることになりますので、注意が必要です。また、「限定承認」は、すべての相続人が
    そろって行う場合しか認められません。
    「放棄」「限定承認」は、相続があったことを知ってから3ヶ月以内に行う必要があり、
    これを過ぎると、プラス・マイナスいずれの財産もすべて相続することになります。

  • 相続財産にどのようなものがあるかは、相続人間で情報を開示しあって判明すれば一番
    良いのですが、残念ながら協力的な相続人ばかりとは限りません。そこで、不動産については、
    市役所の固定資産税課で名寄帳を入手する、預貯金については金融機関で残高証明等を
    発行してもらう等の方法で、ある程度ご自分で調査することもできます。

【3】遺産をどう分けるか~①法定相続分

伯父には父のほかに妹(私から見て叔母)が1人おり、叔母は存命中です。また、私は4人兄弟で
いずれも存命中です。私は伯父の財産をどんな割合で相続するのでしょうか。
叔母様が1/2、あなたを含む4人兄弟が各々1/8の割合で相続します。

相続は、亡くなった人(被相続人=相続される人)の死亡により自動的に開始します。
だれが相続人(=相続する人)になるかは、その範囲が民法で定められています。
相続人の範囲と順位(優先順位)は、以下のとおりです。

  1. 相続できる割合は、民法で規定されています(法定相続分)。
    相続人が配偶者と子(第1順位)の場合→配偶者1/2、子1/2
    相続人が配偶者と直系尊属(第2順位)の場合→配偶者2/3、直系尊属1/3
    相続人が配偶者と兄弟姉妹(第3順位)の場合→配偶者3/4、兄弟姉妹1/4

  2. 同順位の者の間(子どうし、直系尊属どうし、兄弟姉妹の間)では、法定相続分は均等です。
  3. ですので、あなたの場合、伯父様に配偶者、子、直系尊属がいないことから、伯父様の兄弟姉妹
    (あなたのお父様と叔母様)が伯父様の相続財産の100%を受け継ぎます。兄弟姉妹の間では
    相続分が均等であることから、叔母様が50%(1/2)、お父様を代襲相続したあなたを含む
    4人兄弟が50%(1/2))相続します。
    さらに、あなたを含む4人兄弟の間で相続分が均等であることから、あなたの法定相続分は、
    50%(1/2)×1/4=1/8
    と計算されます。

【4】遺産をどう分けるか~②特別受益・寄与分による調整

私の姉は、結婚の時、生前の伯父から現在の価格で評価して500万円くらいの挙式費用等を
もらっています。
伯父の遺産は約4000万円くらいになりますが、私たち4人兄弟が、その1/2の2000万円を
4等分するとなると、伯父から何ももらっていない兄・私・妹としては、何か不公平な気がします。
姉がもらった結婚挙式費用等は、相続にあたって考慮されないのでしょうか。

お姉さんが伯父様から受けた生前贈与は「特別受益」として評価され、法定相続分が修正される
(お姉さんの分が減り、他の相続人の分が増える)余地があります。
ただ、その可能性は高いとまでは言えません

  • 故人から遺贈(遺言により財産を無償で譲ること。遺言については後述します)を受け、または婚姻・
    養子縁組・生計の資本として贈与を受けた者(特別受益者)があるときは、
    相続開始時に存在する財産(A)+その贈与の価額(B)
    を相続財産とみなし、これに基づいて法定相続分の割合で計算した額(C)を特別受益者以外の
    相続人の各々の相続分とし、特別受益者の相続分はその
    (C)-(B)
    で得られる価額とすることが、民法で認められています。
    設例で具体的に数字で説明すると、
    A=4000万円、B(お姉さんの結婚費用)=500万円、
    なので、A+B=4500万円を相続財産とみなし、
    叔母様の相続分(C)は4500万円×1/2=2250万円、
    お兄さん、あなた、妹さんの相続分(C)は各々
    4500万円×1/8=562万5000円、
    お姉さんの相続分は562万5000円(C)-500万円(B)=62万5000円、
    ということになります。
  • とはいえ、生前贈与等があれば何でもかんでも特別受益にあたる、とされるわけではありません。
    特別受益にあたるかは、被相続人の資産・収入や家庭事情も加味して、ケースバイケースで
    判断されます。
    設例では、4000万円の遺産に対し、500万円の結婚挙式費用ということですので、その遺産に
    占める割合、生計の資本とは言いにくい性格、から判断して、特別受益と認められる可能性は、
    高くはないでしょう。
  • 特別受益の主張は、お姉さんが認めてくれれば話は簡単ですが、そうでない場合、遺産分割の
    調停の中で話し合うことになります。

叔母は、亡き伯父の近所に住んでいたこともあり、ここ10年間ほどは毎日のように、
高齢で1人暮らしの伯父のために食事の支度をしていたそうです。
叔母は、その点を相続で考慮してほしい、と言っていますが、叔母の主張はもっともなのでしょうか。

叔母様の主張は「寄与分」といって、被相続人の財産の維持・増加に特に貢献した者に
より多くの相続分を与える、という民法上認められた考え方です。
ただ、結論から言って、設例で「寄与分」の主張は認められないでしょう。

  • 寄与分が認められる場合、相続分の計算方法は、特別受益の場合の逆になります。
    すなわち、
    相続開始時に存在する財産(a)-寄与分(維持・増加した財産の価額)(b)
    を相続財産とみなし、これに基づいて法定相続分の割合で計算した額(c)を寄与した者以外の
    相続人の各々の相続分とし、寄与した者の相続分はその
    (c)+(b)
    で得られる価額とすることが、民法で認められています。
  • 寄与分の主張は、遺産分割の協議、調停の中で話し合うこともできますし、相続人間で寄与分が
    主要な争点となっている場合などに、別途寄与分を定める調停を独立して申立てることも可能です。
  • ただ、寄与分の主張はなかなか裁判所も認めてくれません。
    設例でも、叔母様は伯父様の兄弟姉妹にあたり、民法上互いに扶養義務がありますので、
    「特別」な寄与であると判断されるのは、比較的まれであるといっても良いでしょう。

【5】遺産をどう分けるか~③遺産分割の進め方

伯父の遺産をどう分けるか、話し合いがまとまりません。調停申立てという方法があると知人から
聞いたのですが、手続のあらましと、気を付けるべきポイントを教えてください。

遺産分割調停の申立ては、原則として、相手方(他の相続人)の住所地を管轄する
家庭裁判所に申立てます。
申立ての方法として、当事者や申立ての趣旨(どんな結論を求めるか)、申立ての理由
(その結論が正しいと思われる理由や事情)を記載した申立書を裁判所に提出します
(書式を裁判所で入手できます)。また、添付資料として、戸籍(被相続人が生まれてから
死亡するまでの期間の全てのもの)、遺産として不動産があるなら不動産の全部事項証明書・
固定資産評価証明書、預貯金がある場合は金融機関が発行する残高証明や取引履歴等も
提出します。

また、調停では、できれば自分の意見を書面にして提出し、その根拠となる資料も可能な限り
提出しましょう。
ただ、ご自身で資料を収集したり書面を作成したりするのはご負担が大きくなりますので、
(特に遺産の範囲や特別受益、寄与分等が問題となっている場合は)弁護士に依頼されることを
お勧めします。

  • 遺産分割調停は、原則として相手方(他の相続人)のうちの誰か1人が住む住所地を管轄する
    家庭裁判所に申立てます。また、それ以外に、当事者全員が合意で定める裁判所でも
    かまいません。
    たとえば、あなたの叔母様が高知県に、お姉さんとお兄さんが山口県に、妹さんが埼玉県に、
    あなたが奈良県に住んでいると仮定しますと、あなたが遺産分割調停を申し立てることのできる
    裁判所は、高知、山口、埼玉のいずれかの家裁、または、全員の合意があれば奈良でも大阪でも
    かまいません。
  • 調停は、通常2名の男女が務める調停委員が着席した部屋に、当事者が交互に入室して、
    各々の言い分を述べたり、調停委員からの質問に答えたりします。当然、相手方の言い分を前提に
    調停委員が質問してくる場面もあります。調停は、あくまでも話し合いで妥当な結論を探るものですので、
    努めて冷静に対応するほうが賢明でしょう。
  • 話し合いがまとまらず遺産分割調停が不成立となった場合は、自動的に審判手続きに
    移行します。審判とは、裁判所が一切の事情を考慮しつつ一方的に分割方法を決定する手続です。
    審判手続の場合、前提として遺産の範囲等に争いがあれば、別途、地方裁判所に民事訴訟を
    提起する必要が生じることもあります。
    ただ、審判は、不動産につき、裁判所が競売を命じたり、あるいは相続人全員の共有と判断したり
    する場合があり、当事者の希望に沿わない形式的で硬直した判断になってしまうケースもあるので
    注意が必要です。

【6】遺言による修正とその限界(遺留分)

私の夫は来年還暦を迎えますが、そろそろ遺言をしようかと迷っているようです。
遺言はしておいたほうがよいのでしょうか。遺言の方法は、何かルールがありますか。

あなたの夫にそれなりの財産があり、相続人が複数生じるようであれば、遺言をしておいたほうが
賢明といえます。遺言の方法としては、ズバリ公正証書遺言という方法をお勧めします。

  • 遺言がない場合は、あなたの夫の財産は法定相続分に従って相続されることになります。そして、
    具体的に誰が何をもらうかは、相続人間の協議ないし調停等で話し合って決めることになります。
    これに対し、被相続人がだれに何を相続させるか、あるいは何を遺贈するか、という点で
    被相続人の意思表示による自由な決定を認めるのが、遺言の制度です。

  • たとえば、あなたが夫婦一心同体で長年夫の事業を支えてきたとして、その一方成人した
    子供たちが自由奔放に生活しているような場合、夫が妻であるあなたに感謝を示す方法として、
    全相続財産の資産価値の3分の2を占める自宅不動産を妻に与える、残りの預貯金を長男・次男に
    等分に与える、といった遺言を残すことが可能です。
    遺言をする際は、相続財産を明確に特定し、曖昧な点を残さないよう注意することが大切です。
    抽象的に「遺産の3分の2を妻に与える」というように相続分の指定の形で遺言することも
    可能ですが、具体的にどう分けるかで紛争の種を残すことになりかねませんので、あまり
    お勧めできる方法ではありません。

  • 遺言で遺産分割の方法を指定したり、相続分を指定したりした場合、遺言が有効であれば
    (そのための要件については後述します)、法的効力が生じ、原則として相続人はこれに従って
    遺産を分割する必要があります。遺産分割調停がまとまらず審判手続に移行したような場合でも、
    有効な遺言があれば当然考慮されます。
  • 一般的な遺言の方法としては、
    自筆証書遺言(遺言者が全文を自筆し日付・氏名も自署し、これに押印したもの)、
    公正証書遺言(証人2人以上の立会いのもとに、公証人が遺言者の口述を筆記して作成するもの)、
    秘密証書遺言(遺言者が遺言書に署名・押印して封筒に入れ、同じ印で封印し、公証人、証人
    2人以上の前で自分の遺言書であることを申述するなどして、さらに公証人と証人が署名・
    押印する方法)の3パターンがあります。
    それぞれ、法定の要件の不備により無効となるリスクがありますが、公証人による内容面のチェックを
    経た公正証書遺言が、一番そのリスクが小さいと言えます。
    また、公正証書遺言は、他の2つと異なり、家庭裁判所での検認手続を経る必要がありません。
    さらに、相続人であれば、公証役場で公正証書遺言の存否を検索できますので、遺言書が
    発見されないまま終わってしまうというリスクもありません。
    公正証書遺言は作成に時間と若干の費用がかかってしまうため、「面倒くさい」と感じられる方も
    いるでしょうが、自分の死後に紛争の種を残さないという意味では、一番お勧めできる
    遺言の方法です。実際、近年は、遺言の大半を公正証書遺言が占めています。

  • なお、被相続人の死後に家人が遺言書を発見してこれを破棄したり隠したりすると、
    相続人の欠格事由に該当してしまい、その人は相続できなくなりますので、注意が必要です。
  • 相続人全員の合意があれば、遺言の内容に反する遺産分割を行っても構いません。
夫が、私に全財産を与える内容の遺言をしたいと言っています。
将来私と子供たちの間でもめ事が起こらなければいいのですが、少し不安です。

お子さんたちには遺留分(被相続人の意思によっても奪えない相続分)がありますので、
子供たちが夫の死後あなたに対し遺留分減殺請求(遺留分を受け取るためあなたの取り分を
減らすよう請求することをいいます)してくる可能性があります。
紛争防止のためには、やはり遺留分を考慮した遺言にしてもらったほうがよいでしょう。

  • 遺留分は、(直系尊属のみが相続人である場合を除き)
    その相続人の法定相続分×1/2の割合となります。
    ただし、遺留分が認められるのは、配偶者、子ないし直系卑属、直系尊属だけで、被相続人の
    兄弟姉妹には遺留分はありません。

  • 遺留分は、設例のような過大な相続分の指定のケースだけでなく、相続人以外への遺贈や、
    相続開始前の1年間に行った生前贈与(相続人が生前贈与を受けた場合は1年以上前のものも
    含む)などでも、減殺請求できます。
  • 遺留分減殺請求は、裁判手続による必要はなく、たとえば内容証明郵便等で直接、
    多くもらいすぎた人に対し、請求することができます。
    ただし、遺留分減殺請求は、自分のために相続が開始したこと及び遺留分を侵害する生前贈与や
    遺贈があったことを知った時から1年以内に行わなければ、時効によって請求権が
    消滅してしまいます。ですので、裁判にするか、それでなければ配達証明付き内容証明郵便等の方法で、
    請求した日付が明らかになるように請求することが大切です。

  • 設例のような遺言で、夫の死後の紛争を予防する方法として、子供たちの協力が得られるなら、
    子供たちから家庭裁判所に遺留分放棄の許可の審判を申し立ててもらうこともできます。
    ただ、家裁が当然に許可してくれるものではなく、放棄の合理性等について裁判所が審査することになります。

企業法務Q&A

顧問契約について、一度説明してほしい。
ご連絡いただきましたら、予約を取らさせていただき、直接、弁護士から、説明させていただきます。この場合の説明については、法律相談ではございませんので、費用はかかりません。
顧問弁護士がほしいが、顧問料が高いのが心配だ。
当事務所では、顧問契約の内容に応じ、顧問料が月額1万1000円(税込)での顧問契約も行ってお ります。
顧問契約のメリットって何ですか?
たとえば、1ヶ月3万3000円(税込)の顧問契約をしていただきますと、通常30分5,500円(税込)の法律相談が1ヶ月に5時間まで受けることができますので、弁護士に相談するべきかどうか迷われるようなことでも気軽に相談していただけるのではないかと思います。また、顧問先からの相談については、優先的に対応させていただいております。また、顧問先と恒常的な関係を有することで、顧問先独自の問題領域や専門領域を知りやすくなり、初めて相談を受ける場合に比べて、法的対応がスムースにいくというメリットもあると思います。
更に、顧問契約の内容によっては、顧問契約ではカバーできない委任事務(訴訟等)の着手金割引や報酬割引があります。
4つのプラン以外の内容や金額で顧問契約できませんか?
ご相談者様のご希望をお伺いした上で、ホームページに記載しているプラン以外の内容の顧問契約案をご提案することは可能です。一度、ご相談ください。
契約期間はどれくらいですか?
原則1年間です。

その他Q&A

5つの柱として、相続・遺言、交通事故、債務整理、離婚相談、企業顧問を掲げているようですが、その他の事案も取り扱っていますか?
はい。法律問題は、ある一定の分野のみ扱っていても、解決に限界があると考えております。たとえば、遺産分割についての相談者の場合、1筆の土地を分割する場合には、最終的には、共有物分割請求を行わなければならない場合もあります。また、労働事件などは、企業顧問を行う上でも重要な分野と言えます。そこで、当事務所においても、上記の4つの分野以外の事案も取り扱っておりますので、お気軽にご相談ください。
裁判(訴訟)では、勝訴か敗訴しかないのですか?
訴訟提起すると(又は、されると)、途中に、和解をすることがあります。和解とは、相互に譲り合って問題を解決することを言い、その場合、一方の言い分だけが通ると言うことはありません。従って、和解をした場合には、勝訴でも敗訴でもないということになります。また、判決が下された場合であっても、一部だけ原告の主張が認められた場合には、一部勝訴、一部敗訴ということになります。
お金を貸したけど返してくれない。契約書はあるから、すぐに強制執行してほしい。
その契約書が公正証書で作成されており、かつ、その公正証書に強制執行してもいいという文言があれば、すぐに強制執行の手続きをとることも可能です。しかし、そのような場合でなければ、まず、判決など(債務名義といいます。)を得た上で、強制執行の手続きに入らなければなりません。たとえ、本人としては、正しい(お金を貸したのに返してくれない)と考えていても、日本の制度では、きちんと相手の言い分を聞いた上で、裁判所という中立的な第三者が言い分を認めてくれて初めて、国家権力による強制的な財産への執行が可能となります。
その他 解決までの流れ(一般的な訴訟の流れ)

※解決までの流れはひとつではありません。

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